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和田です。

前回に引き続き中学校時代の話です。

そしてそのまま中学校1年目が終了し、
私は2年生へ進級しました。

クラス替えでまた新しい級友たちと出会いました。

その中にひときわ華やかな器量が良い女の子がいました。

中学生ですとまだ可愛い子でも
どこか垢抜けていない感じがあるものですが

その子は別で、
高校生のようなスタイル、美しさを持っていました。

超かわいいアイドルのような女子中学生

彼女はすぐさまクラスの男子生徒たちからの憧れの的になりました。

もちろん私も例外ではありません。

最初
「よろしくね」
的なことをニッコリと言われただけで
すっかり彼女の虜になってしまいました。

彼女は成績優秀で頭もよく
所属しているバレー部ではエースで
そのうえ明るく人当たりも良く友人も多いという
まさに学校のアイドルといった感じの女の子でした。

ここでは仮に彼女のことをYと呼ぶことにします。

Yは他の華やかな友人女子2人といつも一緒にいたので
男子生徒たちからは

「トップスリー」

だとか

「あの3人」

だとか呼ばれていました。

私もトップスリーに憧れ
なんとか彼女たちと仲良くなりたいと思いました。

アイドルに近づく策を練る!

幸いトップスリーの一人とは私は小学校時代の顔見知りで
3、4年の頃の同級生でそこそこ仲良かったので
そこから仲良くしていけば
Yとも近づけるのではないか、と思いました。

しかし、この年代
中学2年生になると皆完全に異性を意識しだします。

特に女の子はそういった部分での成長は早いので
小学校時代は明るくてゲラゲラ笑っていた子が
急に大人しく消極的な感じになったりします。

その子もそんな感じで
小学校時代は明るくて男友達ともじゃれていたりしたのですが
すっかりおとなしくなって、女の子らしくおしとやかな感じになっていました。

当然私は超シャイなのでそんな女の子らしくなった子に話しかけられるはずもありません。

よってその作戦は瞬く間に失敗しました。

それでも私はなんとかしてYに近づきたかったので
毎日授業の合間にYを横目で見ては
何か良い方法はないかと思って悶々としていました。

降って湧いたチャンス

しかしそんな私に僥倖が訪れます。

席替えです。

私は彼女の隣の席をゲットしたのです。

私はびっくりしました。
とてもうれしく思いました。
そして不安や緊張感も感じました。

中学2年生となるともう
1年生の頃のように
隣同時机をくっつけたりはしません。

ただYと仲良くなるきっかけができたのは間違いありません。

私はなんとかしてこの機会をものにしたいと考えました。

しかし邪魔者が現れます。

それは私の前の席の男子でした。

私と彼女をジャマするヤンキー男子

彼は私の保育園の頃の友人で小学校は違いましたが
また中学校で一緒になった関係でした。

その彼がまたうるさかったのです。

ちょいワルといった感じのやつで
校則破りの学ランを着ていましたし
いつも先生に反抗していました。

おとなしい男子をバカにしていじめていたりしてました。

私も当時暗くおとなしい感じでしたが
保育園時代は快活で中心人物で、彼も子分のような感じで扱っていたので
彼も私に対しては特にいじめてきたりはせず
むしろよく話しかけてきました。

授業中なども常に後ろを向いて私としゃべりながら受けているといった感じで
私も彼もよく先生に注意を受けました。

まあそれは別に良かったのです。

ただ

常に彼が絡んでくるため
全くYと仲良くできない、会話ができない
ということが問題でした。

目をつぶって給食を食べてると笑われました

ただそんな中でも給食や掃除や
ちょっとした合間などに話すことができて
少しづつですが彼女との距離が縮まりました。

給食の時は班になって席をくっつけて食べるため
私とYは隣同士なため必然的に向い合って食べることになります。

私はいつも彼女を直視する事ができず、
目を伏せたり細目で食べていました。

元来目が小さい
薄目だと言われがちだったため
彼女からはまるで目をつぶって食べているように見えたと思われます。

実際、
彼女は友人に
「和田くん、給食の時眠りながら食べてるんだよ~」
みたいなことを言っていたらしいです。

もう本当に情けなくて仕方ありません

好きな子の事を見られない臆病者っぷりは
その後なかなか改善されませんでした。

彼女の知人になり、そして…

そんな楽しい?隣人生活も当然幕を下ろします。

席替えの季節です。

私は
「ああ、これでもう彼女と縁もなくなるのか…」
と思ってがっかりしていました。

しかし何処か悪運が強い私。

なんとまた彼女の近くの席をGETしました。

今度は隣ではないですが、斜め前、
私の隣の子の前の席がYという構図でした。

ただ班は違っていたし、隣の時もそんなに会話はできなかったので
近くで彼女を見られる位置でラッキー
くらいに考えていました。

しかしこの私の新しく隣になった子がなかなかうるさい子でした。

またか!

と思われるかもしれませんが
前回の席の前の彼と似たように
ちょっと何処か変わっていてボーイッシュで
騒ぐ子が私の隣でした。

美少女に鼻の下を伸ばしながら英語を教えました

彼女は変わっていましたが
何故かYとはそこそこ仲が良いようでした。

彼女は当初私など興味もないようで
Yとしゃべっていましたが
私の成績がそれなりに良い事を知ると、
色々と授業のことなどを聞いてくるようになりました。

Yも成績優秀だったため、私とYと3人で彼女の質問に答えたりしました。

特に英語は私はこの時期に短期留学に行っていた経験もあり、
それなりに自信がありました。

Yも英語は得意だったのですが、私のほうが幾分成績は上でした。

その子に英語を教えたりする時、
Yがふと
「和田くんはすごいね」
と言って褒めてくれたことを今でも覚えています。

そのことがきっかけかは分かりませんが
その後Y自身も何か英語などで疑問点があると私に聞いてきてくれるようになりました。

そんなに頻繁ではなく
ほんとうにたまに聞いてきてくれるぐらいですが
それでもクラスのアイドルに頼られて私はとても嬉しかったし、
他の男子生徒に対して優越感を感じました。

謎の親友

特別親しいというわけではなかったですが
かすかな繋がりは確かにYとは感じました。

男子生徒たちとは親友と呼べる存在はいなかったものの、
そんなに孤独にもならずとりあえず上辺だけの感じで上手く付き合っていました。

そんな中、一人の男子が私と急速に仲良くなりました。

私はあまり友人と放課後や休日に
遊んだりすることはなかった(誘われなかった)のですが
彼とは誘われて休みの日に遊んだり、映画を見に行ったりするようになりました。

そんな中、彼は私に恋愛の相談をしてきました。

彼はYが好きであると。

Yはクラスのアイドルだったので
私はそんなに驚かなかったのですが
やはり動揺は隠せませんでした。

彼は続いて聞いてきました。

「和田は、誰が好きなんだ?」

私は沈黙しました。

彼のように正直に言うことなど出来るはずもありませんでした。

「オレは、、いないよ」

私はそういって自分の気持ちを隠しました。

彼はそうか、と言ってそれなら自分の恋を応援して欲しいと言いました。
私は嫌だというわけにもいかず、首肯しました。

それから彼は私に色々とYの事を聞いてきました。

何が好きか?
どこに住んでるのか?
趣味は何か?
彼氏はいるのか?

彼は私とYがそこそこ仲が良いと思っていたらしく
そんなことを色々と聞いてきました。

私は全てに答えられるわけではなかったのですが
答えられるものは全て正直に答えました。

彼はありがとう、頑張るよと言って笑ってくれました。

しかし私は複雑な気分でした。

自分の恋敵を応援していることになっていることもそうですし、
彼が自分に近づいてきたのはYに近づくためだったのではないか、とも感じていました。

2人に嫉妬、、

彼とYは少しづつ仲良くなっていっているようでした。

彼が逐一進捗を報告してくれるし
彼とYが話しているところにしばしば私もいたのでそれはよく分かりました。

私は嫉妬を感じていましたが
どうすることもできませんでした。

やがて彼女の誕生日が近づいてきました。

彼は映画に誘ってプレゼントして告白するつもりだと
私に言いました。

私はまだやめといたほうが良い、と言いました。

もちろん彼とYがくっついては困る、という気持ちもあったのですが、
客観的に見ていて、確かに仲良くはなっているけど、
告白は断られるだろうと思ったからです。

勿論Yに対する恋心があったので客観的に見ることができていたかは分かりません。

彼はそれでもすると言って
私に彼女が誕生日に何が欲しいか聞いてきてくれと頼みました。

私はイヤだったので断りましたが
彼がとても真剣な表情で頼むので
最終的に請け負ってしまいました。

それでも彼女にそんなことを聞くのはとても勇気が入りましたし、
とても人前では聞けませんでした。

彼女を放課後の教室に呼び出す…

困った私は放課後Yを呼び出し
聞くことにしました。

Yの友人に放課後彼女を呼び出してくれと
頼んでいる時
まるで告白しようとしているみたいじゃないか
と自分で思い、とても恥ずかしくなりました。

教室で彼女を待っている時間は
永遠のように感じられました。

私は早く役目を終えたい気持ちでいっぱいでしたが
来ないなら来ないでくれ、と思っていました。

しかし、しばらく経ってYは現れました。

「どうしたの?」

そんな風に笑って彼女はいつもどおり
笑顔で私に問いかけてきました。

誕生日何が欲しいか聞かなきゃ、
早く役目を終えて逃げ出したい、

私はすごい緊張感を感じて心臓はバクバクでした。

「今日はテニス部ないの?」

私は部活はサボっていました。
彼女はそう聞きながら自分は部活あるんだから
早く要件を言って、という感じに私に詰め寄ってきました。

私はムリだ

と思いました。
誕生日プレゼント何がほしい?
なんてどうしたって聞けない、と思いました。
当時の私にはそんなことを聞く勇気すら持てなかったのです。

私は諦めて、ごまかしてその場を去ろうと思いました。

「中村くんに何か頼まれたの?」

私はギクッとしました。
中村というのは彼の事でした。

私は動揺が隠せず間抜けに

「え?どうして気づいた?」

と言ってしまったのです。

言ってからしまった、と思いました。
Yはそうだと思った、と言いました。
どこかつまらなそうな表情でした。

「部活ちゃんと出たほうがいいよ」

そう言ってまた明日ね、と言って
彼女はスタスタと教室を出て行ってしまいました。

一人残された私は罪悪感でいっぱいでした。

役目を果たせないどころか、
彼に頼まれてきたことも言ってしまいました。

彼に対して本当に申し訳なく思いました。

同時に疑問もありました。

どうしてYはそのことに気づいたのだろう、と。

私は色々と考えましたがまるで見当が付きませんでした。

ウソ、、、、

翌日、彼にどうだったと聞かれました。

私は困りました。

正直に聞けなかったし、
君に頼まれたということも言ってしまった
と言えばよかったのですが

私はウソをついてしまいました。

聞けた、と彼に答えてしまったのです。

当然聞けてないので
彼女が誕生日に何を欲しがっているかなんて
まるで知りません。

「ほんとか!ありがとう、で彼女はなんて?」

当然彼は聞いてきました。

私はYが

『たれぱんだ』のグッズが好きだったことを思い出しました。

『たれぱんだ』とは当時流行っていた
たれた耳?をもった可愛らしいパンダのキャラクターです。

Yはそのグッズを集めていて、私も一度英語を教えたお礼に
『たれぱんだ』の絵がついた消しゴムを貰ったことがありました。

ぬいぐるみとか大きい物はもっていない、と言っていたような気もしました。

そこで『たれぱんだ』のぬいぐるみが欲しいらしい、と私は彼に答えました。

全くの出任せですが
彼はなるほど!と言って喜んでくれました。

私は彼は私のでまかせに従って
『たれぱんだ』のぬいぐるみを
彼女への誕生日プレゼントに買うのだろうか
と思いました。

そして重い罪悪感にかられました。

そして彼は実際に買ったのです。

Yの誕生日、デートはできなかったようですが
彼は『たれぱんだ』のぬいぐるみをYにプレゼントしたそうです。

彼曰く、とても喜んでくれたそうです。

告白は勇気が出なくてできなかった、と彼は述べていました。

正直に答える彼を見て
私はとても自分が情けなく感じました。

その後

まもなくして彼は彼女に振られました。

私は彼を慰めましたが
内心はほっとしていました。

彼は初めはショックを受けがっかりしていましたが
次第に落ち着いていきました。

最終的には彼はすっきりとした顔を浮かべていました。

私は自分とは違い勇気を持った行動ができる彼をかっこ良いと思いました。

自分も何か行動を起こさなければいけない、と思いました。

アイドルの友人とネクラの男子のペア

当時私は生活委員会に属していました。

中学校の委員会活動は各クラス男女1人ずつなのですが
私のパートナーは「トップスリー」の女の子でした。

Yでもなく、私の小学校時代の友人でもない、もう一人の子でした。

生活委員会はなかなか仕事が多かったのですが
放課後各教室を見まわって戸締まりをし、
まだ残っている生徒がいないかチェックすることも仕事の一つでした。

その役目は週に1回くらいで各クラスに回ってきました。

ある日、私がその子と見まわっている時、
彼女が聞いてきました。

「ねえねえ、あの時どうだったの?」

私はギクリとしました。

あの時とはYを呼び出した時です。

確かに私はYを呼び出すのに彼女に頼みましたので
彼女がそのことに興味を持ってもおかしくはありません。

私はごまかそうとなんでもないよ、と答えました。

「告白したんでしょ?」

これだから女の子は、と私は思いました。

この子も普段は大人しく控えめに振舞っているくせに
本当にこういう話は興味津々なんだ、と思い私は不快になりました。

しかも私みたいな根暗がアイドルみたいなYに告白した
ということを楽しんでいるようにも見えて本当に腹がたちました。

私は怒ったので無視して早く見回りを終わらせようと早足になりました。

彼女は追いかけてきて色々と聞いてきます。

「映画に誘ったんだって?」
「時々英語教えてもらってる、とか言っていたよ」
「『たれぱんだ』あげたんだって?上手くやったね、喜んだでしょ?」

私は無視していつになく手際よく、作業を終わらせました。

彼女も最終的には口数も少なくなり
仕事を終えて帰ろうとする私にこう言いました。

「ごめん、怒っちゃった?」

私は心底済まなそうな彼女の顔を見て
怒りがすっとしぼんでいきました。

「いや、、こっちこそごめん無視して」

「いや和田くんの気持ちも考えずに、ごめんね」

彼女は優しいな、と思いました。
不思議な事にさっきまで憎く思っていた彼女が
愛らしく感じられました。

彼女も「トップスリー」の一員なので
当然容姿は良く、人気があります。

現金なことにさっきまでの怒りはどこかへ消え
私はとてもハッピーになりました。

本当男とは単純なものです。

しかしこのハッピーな気持ちも、次の彼女の一言でかき消されます。

「フラれちゃったんだもんね…」

は?

それはオレじゃない、

私は混乱しました。

思い返してみると彼女は勘違いをしているようでした。
映画に誘ったのも、『たれぱんだ』をあげたのも、私ではありません。

彼、中村と私を勘違いしているようでした。
私は訂正しようとして

「それはオレじゃない」

と言いました。

彼女は悲しそうな顔をしていました。
悲しいのは分かるよ、という顔をしていました。

じゃ、私部活行くから
和田君も元気だしてがんばってね、

そういって去ろうとする彼女を私は呼び止めました。

誤解されたままはイヤだったのです。

それはオレじゃなくて中村だよ___

そう口にしようとしました。

しかしその瞬間、一度彼を裏切ってしまったことが頭によぎりました。
彼の顔、告白が終わって、これからは部活を頑張る、
と言っていたすっきりとした表情が思い浮かびました。
私のウソにもありがとう、と言って深く感謝してくれた彼を思い出しました。

私は言えませんでした。

ごめん、なんでもない、じゃあね…

と代わりに言いました。

彼女は去って行きました。
私は脱力しました。
様々な思いがこみ上げてきました。

色々な気持ちがありましたが

結局自分は何も言えないのだ、と思いました。

またウソを付いてしまった、と思いました。

静かに一人教室で泣きました。
委員会の先生が来るまで泣いていました。

先生が来た時は泣いてはいなかったので
見回り終了の報告をもらったのに
下校指導をした委員が残っているとは何事だ、と叱られました。

私はそういえば委員会の仕事だったんだな、
報告すっかり忘れていたけど彼女がしてくれたのか
と思って彼女に感謝し、家に帰りました。

時が移ろい__

それからゆるやかに日常が流れて行きました。

私とYと中村君は疎遠になりました。

何故かクラスの中で私がYにフラれた、というような
空気が出来上がっていて私はなんとなくYに近づけなくなりました。

中村君は別のクラスの子にすぐさま恋をして
すぐに彼女にしてしまっていました。

彼も私とつるむことはなくなり、クラスのイケてる男子連中とつるむようになりました。

思い返せば、私と仲良くなる前、元々はそうだったような気がしました。

Yはいつもどおりでした。
いつもどおりに明るく、可愛く、幸せそうでした。

英語は他クラスの帰国子女の男子にいつも教えてもらっているようでした。

そんな感じで私は孤独に戻りました。
不思議と嫌な気持ちはしませんでした。

ただ、ひたすらに自分を責めていました。

言いたいことが、言えない自分を___。

「和田は誰が好きなんだ?」

「中村くんに何か頼まれたの?」

「振られちゃったんだもんね…」

本当の気持ちを言えるチャンスはいっぱいあったはず、なのに___

本当のことを、答えられない。
自分の気持ちを伝えられない。

だからみんな離れていってしまった。

弱い、情けない自分に嫌気が差して。

ひたすら自分を責めていました。

中学校1年、あの彼女のおかげで少し明るさを取り戻した私でしたが
この頃にはまたすっかりネガティブに戻っていました。

そんな感じで中学2年が終わりました。

3年生ではまたクラス替えがあります。

キミとカレが作った物語、、自分はいない…

私はYとも中村くんともトップスリーの2人とも
保育園時代の彼とも、ボーイッシュで変わり者の女の子とも
別のクラスになりました。

新しいクラスは比較的テニス部の知り合いが多かったので
表面的には上手くやれ、孤独にはなりませんでした。

この頃はひたすら高校受験の勉強をしていたことを覚えています。

Yに対しては時々見かけ、
やっぱり可愛いな、などと相変わらず思っていましたが
話すことはなくなりました。

そんなある日のこと、
私は次の時間、音楽のクラスへの教室移動で急いでいました。

教科書や筆箱や楽器などを持って階段を駆け登っていました。
当然急いでいたので前を見ていません。

案の定衝突しました。
私は前から来た相手にふっとばされ
持ち物は全部落としました。

衝突相手は教師でした。

先生は何やってるんだ、前を見て歩け、廊下は走るな
と説教し、授業始まるじゃないか急いでいるんだ
と言ってプリプリしながら去って行きました。

思い出の消しゴム

私は慌てて散乱した文房具や持ち物を拾い出しました。

すると一人の女の子が駆け寄り、拾うのを手伝ってくれました。

私はあ、ありがとうと言って急いで荷物を拾いました。
拾い終わって立ち上がり、彼女の方を見ました。

笑顔で消しゴムをもっているYがいました。

私はびっくりしました。

Yはいたずらっぽく笑って私に消しゴムを見せました。

私にはそれが何か当然分かっていました。
それは彼女が一年半ほど前にくれた『たれぱんだ』の消しゴムでした。

英語を教えてくれたお礼と言って貰ったものでした。

「これ、私にちょうだい?」

Yは笑って言いました。

私は頷きました。

「今度また英語教えてね」

「そしたらお礼にこれ、あげる」

そう言ってクスッと笑ってYは去って行きました。

私は消しゴム取られちゃったな
今日は間違いができないな
困った、困った

と思い、ニヤニヤしながら
ゆっくり音楽室へ向かって歩き出しました。

 


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